−レッツ☆ウォー− 


ぞんび★戦争(2008.4.5)

 その日、俺はあんまり暇だったので古いビデオテープを引っ張り出して見ていた。外国のホラー映画で、単純に言えば、ゾンビが町を恐怖に叩き落す分かりやすいものだ。
 何気なくベッドに寝そべりながら、窓の正面に置かれた画面を眺めていると、開いている窓の向こうに人の気配が感じ取れるようになった。どうやら、隣に住む幼馴染みが一緒になって見ているらしい。
 たまにこうやって同じ画面を眺めながら話すこともある。ただ、今は俺が寝転がっているから幼馴染みこと双葉に俺の姿は見えていないだろう。
 テレビがつけっ放しだと知らせにくるかな? とも考えたが、時間が経っても一向にその様子がない。完全に見入っているようだ。怖いものが嫌いな双葉にしては珍しいと思いつつ、俺は黙って映画を見続けた。
(……ん? なんだ?)
 しばらくすると、窓の向こうから何やら声が聞こえ始めた。映画は主人公の活躍によりゾンビが大ピンチを迎えている。それでも最後の足掻きとばかりに大群で町へ押し寄せていた。かなり気味が悪い画面だな。
 訳の分からない奇声を上げるゾンビ達の声に紛れて、窓の外からもお経のような声。聞き取れない双葉の声が気になって、俺は映画そっちのけで窓に寄った。そっと覗き込むと窓枠に両手が乗っている。だが、双葉自体は頭の上、髪の毛しか見えない。
 窓から乗り出してみる。双葉は壁にデコを着けて念仏を唱えているようだ。じっと聞いていると、我が天才的にアホな幼馴染みが何を言っているのか聞き取れるようになる。
「大丈夫……ゾンビなんて日本には来ないわ……だって、アメリカと日本の間には海があるじゃない……ゾンビは来ない。大丈夫よ」
 なるほど、この程度のホラーでも、双葉は怖かったんだな。だが、甘いぜ。この時代、賢いゾンビならば船やら飛行機でやらで入国してくるさ。
 ……腐りかけのナマモノが怖いなら家の前に塩撒け、塩。

☆ 本日の試合結果。ぞんび勝利。


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